はじめに、本ページは筆者の試験対策を目的に制作したノートが元になっている。公開する際に最低限の変更を加えたが、留置権の全てに触れているわけではなく、また私の理解が浅い個所も存在する。しかし、留置権を学ぶ上では前提となる知識でもあるため、本ページが何かしらの助けになれば幸いである。

○留置権

〈意義〉

他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権を有するとき、その債権の弁済を受けるまでその物を留置することによって、債務者に対して債権の弁済を間接的に強制することができる。

〈性質〉

〈成立要件〉

*対抗要件は、留置権がその物を留置していることで事足りる。目的物が不動産であっても不要である。

〈効力〉

  1. 留置的効力

    • 被担保債権の弁済がなされるまで、目的物を留置できる(=引渡しの拒絶)
    • 留置権者には留置物につき善管注意義務がある。
    • 債務者の承諾なしに留置物の使用・賃貸・担保給与は不可(298条1項2項本文)。ただし、留置物の保存に必要な使用はなしうるが、得られた利益は不当利得となる。
    • 留置権は物権であるので、留置物の強制競売や担保権実行としての競売における買受人に対しても、被担保債権の弁済があるまでは目的物の引渡しを拒むことができる。(事実上の優先弁済権)
  2. 果実収取権

    留置権者には果実収取権が認められるが、298条2項の関係上、法定果実についてはあまり意味を持たない。

  3. 費用償還請求権

    留置物について必要費あるいは有益費を支出したときは、所有者に対してその償還を求めることができる。(299条)

  4. 競売権

    留置権者にも競売権は認められている。ただし、これは債権者を物のままで留置する負担から解放し、お金の形で留置できるようにするための換価のための競売である。

  5. 留置権の行使と消滅時効

    留置権の行使をしても債権についての時効の完成猶予の効力はない。(300条)ただし、留置権者が裁判上留置権の抗弁を主張する際に、その基礎となる被担保債権の存在を主張した時には「催告(150条)」と同じ効力が生じる。

〈消滅〉



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