はじめに、本ページは筆者の試験対策を目的に制作したノートが元になっている。公開する際に最低限の変更を加えたが、質権の全てに触れているわけではなく、また私の理解が浅い個所も存在する。しかし、質権を学ぶ上では前提となる知識でもあるため、本ページが何かしらの助けになれば幸いである。

〈意義〉
・債権者が、債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を債権の弁済を受けるまで留置し、弁済がない時にはこれを競売にかけ優先弁済を受けることが可能である。

〈性質〉
付従性、随伴性、不可分性および物上代位性が認められる。

動産質


〈設定〉
・質権設定契約の当事者は、債権者と質権設定者(債務者・第三者)である。
質権設定者が第三者である場合、物上保証人と呼称し、提供した目的物につき物的責任のみを負う。(342条)
・質権設定契約は要物契約であり、当事者の意思表示だけでなく、債権者への目的物引渡しにより効力を生じる。(344条)
この引渡しは、簡易の引き渡しや指図による占有移転でも良いが、占有改定では足りない
つまり、質権者は質権設定者に自己に代わって目的物の占有をさせることはできない。(345条)

〈対抗要件〉
・動産質権者は、目的物を継続して占有しなければ第三者に対抗できない
ここでの対抗とは、物権変動における対抗とは異なり、設定者以外のすべての第三者を指す。

〈目的物〉
・譲渡可能な動産物のみが目的物となりえる。
ただし、自動車や建設機械などは特別法で抵当権の設定が認められているため、質権設定はできない。

〈被担保債権〉
・質権により担保される債権の種類は無制限である。
条件付きまたは期限付きの債権、あるいは継続的な取引関係から将来生ずべき不特定の債権を担保するためにも設定しうる。

〈効力〉
・質権の効力は、別段の定めがない限り、元本、利息、違約金、質権実行の費用、質物保存費用および損害賠償債権に及ぶ。(346条)
動産質権は従物にも及ぶが、引き渡されている物に限る。 質権には物上代位性が認められていることにも留意すること。
・質権者は、被担保債権の弁済を受けるまでは目的物を留置することができる。(347条)
ただし、質権者は自己に優先する権利を有する者、例えば先順位の質権者や質権に優先する先取特権を有する者に対しては、留置的効力を主張できない。(同条但書)
質物の保管や使用収益、また必要費や有益費の償還については、留置権の規定が準用される。
・質権者は、債務の弁済が得られなければ、民事執行法の手続きに従い目的物の競売を求める、あるいは配当要求によって、優先弁済を受けることができる。

〈侵害〉
質権設定者が質物の占有を奪った場合、質権者は返還請求権を行使できるが、占有奪取が第三者による物であったときは、継続占有を失っていることになるため第三者に対抗できず、占有回収の訴えのみ認められる

〈消滅〉
質物保管義務違反による債務者の質権消滅請求(350条)
質権者の質物返還による消滅



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