監禁罪
刑法220条:不法に人を逮捕し,又は監禁した者は,3 月以上 7 年以下の懲役に処する。刑法221条:前条の罪を犯し,よって人を死傷させた者は,傷害の罪と比較して,重い刑により処断する。
監禁罪の定義
・保護法益は『一定の場所から移動する自由』
→学説①可能的自由説:現実に移動する意思を有さずとも客観的に移動できない状態なら法益侵害
→判例上、物理的及び心理的に脱出困難な状態であれば成立する
②現実的自由説:現実に移動しようとする意思があるときにのみ法益侵害
京都地判昭和45年10月12日刑月2巻10号1104頁
<弁護人の主張>
被害者は生後1年半ほどの幼児であり、行動の自由の前提要件である行動の意思が認められないため、監禁罪の客体にはならない
↓
<判決>
監禁罪の客体には、法的に責任能力や行為能力、意思能力を欠如していたとしても、監禁罪の保護に値すると解釈する方が合理的
幼児は壁や窓につかまって立ち上がり歩き回れた事実があるのだから、意思能力の有無とは関係なく、任意の行動力を有していたため、保護客体として的確である。
最決昭和33年3月19日刑集12巻4号636頁
監禁=一定の区域場所から脱出できないようにし、その自由を拘束すること
=偽計によって被害者の錯誤を利用するものも含む
<判決>
被害者を乗車させた時点から監禁罪は開始し、乗車し続けていることについて被害者が同意していてもその同意は錯誤により無効
⇒乗車及び走行の全区間において自由の侵害が肯定される
住居侵入罪
刑法130条:正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
住居侵入罪の定義
・保護法益は『事実上の住居の平穏』
・判例の変遷:旧住居権→平穏→新住居権
◯客体
・「住居」:人の起臥寝食ないし日常生活に利用される場所
・「邸宅」:居住用の建造物で住居以外のもの
Ex)集合住宅の共用部分、囲繞地
窃盗罪
刑法235条:他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。<客体>
・「財物」:有体物=空間の一部を占める固体、液体、気体
≠物理的媒体を介さず情報だけを盗む→特別法で対応
・電気も「財物」として扱う
・「財物」には財産的価値が必要だが、主観的価値および消極的価値しかないものも含む
・「他人の財物」であるため、他人の所有と占有どちらも必要である
Q.「占有」とは?
・占有とは、財物に対する事実的支配である
→客観的な支配の事実を基本とし、支配の意味も加味して判断する
※支配意思は包括的ないし潜在的なもので足りる
不法領得の意思 ・窃盗罪の主観的構成要件要素
判例①権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に ②その経済的用法に従いこれを利用し、又は処分する意思
強盗罪
刑法236条:暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。<基本構造>
・強盗罪=暴行または脅迫+窃盗(結合犯)
・暴行は「反抗を抑圧する程度」で足りる(物理的・心理的問わず)
・犯行抑圧されなかった場合、強盗は未遂となり、恐喝が成立する
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